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ヒューマンエラーとユーザインターフェース

各メディアで報道されているので、ご存知の方も多いと思いますが、Google Labs に Mail Goggles という機能が追加されてます。これは、端的に言うと、メール送信前に確認画面(実際には計算問題を解かせて、ちゃんと問題が解けるかどうかを確認する)を出すというもので、後悔するような不本意なメールをなくそうという試みです。計算が解ければ、それだけ正気であるという前提の代物。

なぜ計算などしなければならないのか!と思う人もいるとは思いますが。ちなみに特定の時間にのみ出てくる設定になっています。

グーグル、Gmailに新機能追加–計算問題を解かせて送信を再確認


先日来、ブラウザ界に新風を吹き込んでくれている Google Chrome を筆頭に、「速さ」を求める動きは止まりません。パソコンの頭脳部分もマルチコアになり、また表示部(GPU)や記憶装置(SSD)の世界なんかも同じですね。しかし、同時にファジーな動作も求められる部分が増えていると思います。
クリティカルタスクを簡単に実行できてしまうシステムは、それだけヒューマンエラー(人為的ミス)を引き起こしやすい。ユーザインターフェースの基本だと思います。僕の場合は Windows でファイルを削除する時に、DELETE キー(ゴミ箱に移動)ではなく、SHIFT+DELETE (完全に削除)をよく利用するのですが、これもエラーの原因になります。一応、確認画面は出ますが、毎回エンターキーを押す癖がついています。これと似た現象は、Windows共有でも起きます。標準では、そもそもゴミ箱の機能がありませんので、ユーザが誤って削除してしまうという話です(もちろん、ゴミ箱機能を提供する NAS は結構ざらにあります)。
ユーザインターフェーを考えるとき、基本を知っているか知ってないかは大きな差になると思います。もちろん、実装するかしないかの判断や、試行錯誤、挑戦は、その場の判断が必要でしょう。基本を知らずして、ネット上に転がっている小技的な情報を組み合わせても良いものはできません。どんな分野でも、体系的にまとめられた情報をきちんと摂取する体制が重要です。そのためには、雑誌やインターネットですませるのではなく、図書館や本屋に通うことも大切なことです。
ユーザにとっては、出力されているものが全てです。その裏で何が行われているかは知りようもありませんし、知る必要はありません。要するに、システムでどれだけすばらしいことをしようと、それを体現できないシステムは、やっぱり使いにくいシステムです。
ユーザーにとってはUIがすべて:UIデザイン原則をソシオメディアが語る

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